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Audeze LCD-XC(初期型)

項目
ドライバー106mm平面磁界駆動型・クローズドバック(密閉型)
再生周波数帯域10Hz – 50,000Hz
インピーダンス20Ω
感度100dB / 1mW
ケーブル4-pin mini XLR(本体側)、6.3mm ステレオ標準プラグ
目次

総評

Audeze **LCD-XC**は、平面磁界駆動型の最高峰ブランドであるAudezeが、スタジオユースや高い遮音性を求めるリスナーのために送り出した、密閉型ヘッドホンのリファレンスモデルです。

総評

一言で言えば、**「密閉型の常識を覆す圧倒的な空間把握能力と、平面駆動ならではの精緻な描写を両立したモニター機」**です。 最大の特徴は、密閉型特有のこもり感(ボワつき)を一切感じさせない、極めてクリアで見通しの良いサウンドステージです。LCD-3譲りの106mm大型ドライバーが、密閉空間においても音の「厚み」と「広がり」を見事に両立させており、まるで録音スタジオのブース内に立っているかのようなリアルな定位感を提供します。

音色はLCD-3の「芳醇でウォーム」な質感とは対照的に、より**「ニュートラルで分析的」**な傾向にあります。高域の伸びは非常に鋭く、音源の細かなノイズやリバーブの減衰を克明に描写。低域は密閉型らしい力強い押し出しを持ちつつも、驚くほどタイトでハイスピードです。

バブルガなどの美しいウッドカップを採用した初期型は、現行のカーボンモデルよりも「有機的な響き」と「圧倒的な重量感」を備えており、音と造形の両面で強烈な個性を放つ逸品です。


注意点:物理的な「重み」と「駆動力」

  • 重量: 約650gという超重量級のため、長時間の使用には相応の覚悟が必要です。
  • 低インピーダンス: 20Ωと数値上は鳴らしやすいですが、平面駆動の真価を発揮させるには、電流供給能力の高いアンプが不可欠です。

高域

Audeze LCD-XCの高域は、開放型のLCD-3とは対照的に、**「極めて明瞭で鋭いフォーカス」「密閉型とは思えないほど突き抜ける伸び」**が最大の特徴です。

高域の特徴:モニターライクな「鮮烈な解像度」

一言で言えば、**「録音に含まれる高域の成分を、一滴も漏らさずクリスタル・クリアに描き出す描写力」**です。 LCD-XCは、スタジオユースを想定したモニター寄りの調律が施されており、高域のエネルギー感はLCDシリーズの中でも屈指の強さを誇ります。Fazorテクノロジーによって位相の乱れが極限まで抑えられているため、シンバルのアタックやハイハットの刻みが非常にハイスピードで、音の輪郭を「カミソリのような鋭さ」で描写します。

密閉型の壁を破る「開放的な広がり」

特筆すべきは、密閉型ハウジング特有の「高域の詰まり」がほとんど感じられない点です。 大型の106mm振動板と緻密に計算されたウッドカップの内部構造により、高域の残響成分(エアリー感)が空間の隅々まで自然に霧散していきます。これにより、コンサートホールの天井の高さや、スタジオの空気感を正確に再現する、**「立体的で抜けの良い高域」**を実現しています。

音源の質を問う「冷徹なまでの忠実さ」

HD800の「分析的な広がり」に近い性質を持ちつつも、密閉型ゆえに音圧がダイレクトに届くため、録音の粗や刺さりも容赦なく表現します。しかし、この**「一切の妥協を排した高域の明瞭さ」**こそが、緻密な音作りを求めるエンジニアや、音のディテールを徹底的に追求したいリスナーに支持される理由です。


この「鮮烈で精密な高域」は、初期型特有のウッドカップによる制動と相まって、デジタル音源の微細なサンプリングの粒までを見える化するような、独特の快感をもたらします。

中域

Audeze LCD-XCの中域は、開放型のLCD-3が持つ「芳醇でゆったりとした響き」とは対照的に、**「極めてタイトで実直、かつ情報量に溢れたモニターサウンド」**が最大の特徴です。

中域の特徴:一切の曖昧さを排した「高密度な描写」

一言で言えば、**「録音された音の芯を、最短距離でダイレクトに届ける濃厚な中域」**です。 106mmの大型平面振動板が、密閉されたハウジング内で強力に駆動されることで、音の立ち上がりが非常にハイスピードになります。ボーカルやスネアドラムのアタックがボヤけることなく、パシッと決まる制動力の高さは圧巻です。歌手の唇の動きや、ギターの弦を弾くピックの質感など、中域に含まれる細かなニュアンスを「顕微鏡」で覗くかのように克明に描き出します。

楽器のセパレーション:混濁のない「立体的な定位」

密閉型でありながら、中域の解像度が極めて高いため、複数の楽器が重なり合う複雑な編成でも、個々の音が混じり合うことがありません。**「音と音の間の静寂」**がはっきりと感じられ、それぞれの楽器が空間のどの位置で鳴っているかを正確に把握できる、プロ用モニター機としての厳格な性能を備えています。

初期型ウッドカップによる「有機的な制動」

初期型のバブルガ(Bubinga)などの高密度なウッドカップは、不要な共振を抑えつつも、中域にわずかな**「実体感のある重み」**を添えています。これにより、分析的でありながらも決してデジタル的な冷たさに陥ることなく、生楽器のエネルギーをありのままに、力強く再現します。

低域

Audeze LCD-XCの低域は、開放型のLCD-3が持つ「包み込むような豊潤さ」とは一線を画す、**「密閉型ならではの強烈なアタックと、平面駆動による究極のタイトさ」**を両立させています。

低域の特徴:密閉型が生む「重厚な打撃感」

一言で言えば、**「一切の膨らみを排し、音源のエネルギーをダイレクトに叩きつけるハイスピードな低域」**です。 106mmの大型平面振動板が密閉されたウッドカップ内で駆動することで、空気の圧力を逃さず、バスドラムの蹴り出しやベースのピッキングを極めて鋭く、重厚に描き出します。開放型では得られにくい「音の芯の硬さ」と「瞬発力」が際立っており、低域の立ち上がりと立ち下がり(収束)が驚くほど正確です。

階調表現:沈み込みと解像の両立

量感自体は過剰に強調されていませんが、「地を這うような重低音(ローエンド)」までの伸びは極めて優秀です。 初期型の高密度なウッドカップによる強力な制動により、超低域においても音が濁ることなく、パイプオルガンの震えや電子音のサブベースの階調を、指先でなぞるように克明に分離・再現します。この「深く、かつ透明な低域」は、モニター機としての厳格な性能を感じさせます。

空間の土台としての「静寂」

密閉型でありながら、低域が他の帯域を侵食することがありません。**「音と音の間の静寂」**が保たれているため、広大な音場の中に低域の楽器が整然と配置され、定位の乱れが一切ない立体的な空間構成を支えています。

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