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アシダ音響 ST-90-05

項目値
ドライバーダイナミック型(オンイヤー型 / 密閉型)
Φ40 mm(高音質ドライバユニット / 理論値1テスラの強力磁気回路搭載)
再生周波数帯域5 Hz – 40,000 Hz
インピーダンス40 Ω(at 1 kHz / 1 mW)
感度104 dB/mW
ケーブル約1.5 m(片出し / リケーブル非対応)Φ3.5 mm 金メッキステレオミニプラグ(L型)
目次

総評

アシダ音響 ST-90-05は、半世紀以上にわたり業務用ヘッドホンを手掛けてきた同社の技術を凝縮した、音楽鑑賞用の小型オンイヤー型ヘッドホンです。

最大の特徴は、本体約110gという驚異的な軽さと堅牢なビルドクオリティ、そして理論値1テスラの強力な磁気回路を誇る40mmドライバーが引き出す圧倒的な音響パフォーマンスです。オンイヤー型特有の密着感とダイレクトな音伝達により、音の芯が太く躍動感のあるサウンドを展開。解像度を誇張しすぎず、ボーカルや楽器の温かみと押し出し感を自然に描き出します。

レトロで無骨ながら洗練されたデザインは所有欲を満たし、長時間の着用でも疲れにくい装着性を実現しています。価格帯を大きく超えた高いポテンシャルを持ち、ポータブルでも本格的な音楽体験を提供する質実剛健な名機です。

高域

アシダ音響 ST-90-05の高域は、業務用機器のノウハウを活かした素直で刺激の少ないナチュラルな質感が特徴です。近年トレンドの解像度を過度にアピールする派手な高域や金属的な華やかさとは異なり、自然な伸びやかさと柔らかな余韻を重視したチューニングが施されています。

シンバルやハイハットの打音、アコースティックギターの高音成分は、角が取れた丸みのある描写で響き、耳に刺さる嫌な尖りがありません。音源に含まれる高音域の情報を歪みなく正確に拾い上げつつも、長時間のリスニングで聴き疲れしない絶妙な塩梅にコントロールされています。

超高域の抜け感やどこまでも広がるような空気感を求める向きにはやや落ち着いた印象を与える場合もありますが、音の芯を失わずに中低域と滑らかに調和する、実用美に溢れた質実剛健な高域表現です。
キャスリーン・バトルの「Rejoice Greatly」では、高域の声の張り出しが比較的強めに感じられます。インイヤーのイヤホンと比較するとおとなしめではあります。

中域

アシダ音響 ST-90-05の中域は、業務用ヘッドホンで培われた高い音質精度を感じさせる、厚みのあるダイレクトで濃厚な描写力が最大の特徴です。オンイヤー型ならではの耳元に近い定位感も相まって、ボーカルや主要楽器の音が目の前にくっきりと浮かび上がるような臨場感を味わえます。

中低域の密度が高く、男性ボーカルの低い響きやチェロ・エレキギターのコード感に力強い芯と温かみが宿ります。中高域にかけての刺さりや不快なピークが徹底的に抑えられており、女性ボーカルのアタック感も滑らかで艶やかに表現されます。

解像感をカリカリに際立たせるタイプではありませんが、音が細くならず、楽曲の持つエネルギーや演奏者の表情をストレートに伝えてくれます。ボーカルを中心に音楽に没入したいときや、ラジオ・トークコンテンツの聴取にも最適な質感豊かな中域です。
キャスリーン・バトルの「Rejoice Greatly」では、若干ボーカルが遠目に定位します。また高域の伸びに対する声の張り具合の表現は EA-HF1 に比べて強めになっています。

低域

アシダ音響 ST-90-05の低域は、強力な磁気回路を搭載した40mmドライバーと小型密閉ハウジングのシナジーによる、パンチ力と芯の太さを兼ね備えたソリッドな質感が特徴です。オンイヤー型ならではのダイレクトな音圧感があり、キックドラムのアタックやベースラインの押し出し感を力強く表現します。

量感だけに頼った不自然な重低音ブーストではなく、応答性の良さとしっかりとした制動力が効いているため、タイトでキレの良い低音を楽しめます。中低域の密度が高く、音の輪郭がブレないため、速いテンポのロックやポップスでもリズムを正確かつキャッチーに刻み込みます。

超低域の極端な沈み込みはイヤーカップのサイズ感相応ですが、不足感を与えず、中域や高域を濁らせない見事なバランスを確保。グルーヴ感に溢れ、聴く者を自然とノリに乗せてくれる躍動的な低域表現です。
宮本笑里の「Marina Grande」では、低域の沈み込みが EA-HF1 と同等程度になります。オンイヤーであることを考えると若干低域強めと思います。

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