
| 項目 | 値 |
|---|---|
| ドライバー | 密閉ダイナミック型(インナーイヤー / カナル型) 口径 13.5 mm(CCAWボイスコイル採用) |
| 再生周波数帯域 | 5 Hz – 25,000 Hz |
| インピーダンス | 16 Ω (1kHzにて) |
| 感度 | 106 dB/mW |
| ケーブル | 金メッキステレオミニプラグ(ストレート型) |
総評
MDR-EX90SLは、それまでのインナーイヤー型とカナル型の長所を融合させ、ポータブルオーディオにおける高音質化の潮流を築いたソニーの名機です。
大口径13.5mmドライバーを耳道に対して垂直に配置する「バーティカル・イン・ザ・イヤー構造」を採用。切削アルミと高剛性マグネシウムを組み合わせた筐体により、不要な共振を徹底的に抑え込み、圧倒的な透明感とダイナミックな音場感を表現します。
カナル型特有のこもり感を排除した伸びやかな高域と、自然で解像度の高い中低域のバランスが秀逸。適度な開放感をもたせることで、長時間のリスニングでも聴き疲れしない広大な音場と生々しい音響リアリティを実現しています。音質・デザイン・装着感のすべてにおいて極めて高い完成度を誇り、現代の多ドライバー型IEMへ続く基礎を築いた歴史的プロダクトです。
密閉型な割に比較的音が漏れやすく(多分ベントが少し大きい)、静かな場所では外部に音漏れしている様です。同様に外の音も中に若干聴こえます。
高域
MDR-EX90SLの高域は、大口径13.5mmダイナミックドライバーと金属筐体が生み出す自然な伸びと圧倒的な透明感・見通しの良さが最大の特徴です。密閉型特有の詰まり感や鋭い刺さりを排し、開放型に近い爽やかで抜けの良い音響特性を実現しています。
アルミ削り出し&マグネシウム筐体による優れた制振性により、金属打楽器の繊細な振動や余韻、シンバルの高周波領域まで濁りなくクリアに描き出します。アコースティックレジスターによる精緻な音響コントロールにより、歪みの少ない滑らかなトーンと伸びやかな高域バランスが保たれています。
シャープで解像感が高くありながらも刺さりや耳への刺激は巧みに抑えられており、ボーカルの倍音成分や高音域の音場表現に美しい空気感とリアリティをもたらす、極めて完成度の高い上品な高域表現です。
キャスリーン・バトルのアルバム「Grace」を聴く限りでは、若干音のまるまりは感じられるものの、高域の伸びは素晴らしく昔のモデルとは思えないほどです。
中域
MDR-EX90SLの中域は、13.5mmの大口径ドライバーがもむ圧倒的にクリアで生々しいボーカル描写と自然な音響質感が最大の特徴です。密閉型カナルでありながら特有のこもり感や不快な密閉圧がなく、中音域の音が解像度高くスムーズに前面へ広がります。
アコースティックギターの弦が弾ける音やピアノのタッチ、ボーカルの息遣いまで繊細に再現し、音の立ち上がりと消え際の余韻まで色付けなくストレートに表現します。男性ボーカルの芯のある響きから女性ボーカルの艶やかさまで、非常に自然な帯域バランスで描き出します。
独自のバーティカル構造とマグネシウム筐体により中低域のこもりが排除されているため、他の帯域に埋もれることなくヴォーカルや主奏楽器が立体的に際立ちます。聴き疲れを感じさせない、長時間のリスニングにも適した上質でリアルな中域表現です。
宇多田ヒカルの「Traveling」では、ボーカルが前面に出てきました。ボーカルがかなり目立ちますが、バックの音も解像度がそこまで高くないもののきちんと出ています。
低域
MDR-EX90SLの低域は、大口径13.5mmダイナミックドライバーが生み出す量感だけに頼らない引き締まったレスポンスと高い質感が特徴です。カナル型にありがちな過度な重低音の膨らみやブーミーさを抑え、ボトムエンドの解像度とタイトなアタック感を緻密に両立させています。
ベースラインの音程感やバスドラムの踏み込みが非常にクリアで、音の立ち上がりと消え際のキレが良く表現されます。過剰に強調された低音ではなく、中高域との調和を重視した自然な鳴り方であるため、曲全体のアンサンブルを濁らせず緻密に支えます。
背面のアコースティックレジスターによる適度なベント(空気抜き)構造により、密閉型特有の耳への圧迫感が軽減され、開放感のある見通しの良い低音域を実現しています。原音の質感とグルーヴ感を忠実に伝える、長時間のリスニングでも心地よい上品な低域表現です。
宮本笑里の「Marina Grande」では、ズーンという低音がかなりきちんと再生され、聴いていて気持ちいいです。13.5mmのドライバーがかなり有効に効いているものと思われます。
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